粛々と・・・って、何?
巷でうわさになってる「粛々と」っていう言葉について、調べてみました。
っていっても、ちょこっと辞書やネットで見ただけですけど(^0^;)
まず、広辞苑第5版。
「しゅく-しゅく」【粛粛】
①つつしむさま。
②静かにひっそりしたさま。
③ひきしまったさま。
④おごそかなさま。「葬列が--と歩む」
なるほどね~。
次に、新明解国語辞典第4版
個性的な「明解さん」のなかでも一番個性的な第4版ですが、
『(緊張して)静かに行動する様子。』
・・・ふ~ん。緊張してるのか~。
とてもそうには見えないけどな~w。
ところで、「粛々と」というと、たいていの人はこの詩の一節を思い浮かべます。
「鞭聲粛々~、夜河をわたる~」という詩吟の一節。
これは頼山陽の詩の一部だそうで、以下です。(ネットって便利ですね~)
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「不識庵、機山を撃つの図に題す」 頼山陽
鞭聲粛々 夜河を過る (鞭聲粛々夜過河)
暁に見る 千兵の大牙を擁するを (暁見千兵擁大牙)
遺恨十年 一剣を磨き (遺恨十年磨一剣)
流星光底 長蛇を逸す (流星光底逸長蛇)
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「関西吟詩文化協会」さんのページで見ました。
( http://www.kangin.or.jp/what_kanshi/kanshi_A11_2.html )
実際に吟詠を聴けるので、超オススメのサイトです。
説明もわかりやすいです。
要するに史上有名な「川中島の戦い」を題材にした詩です。
上杉謙信(不識庵)の軍が武田信玄(機山)の本陣に奇襲攻撃をかけた時の様子を
頼山陽が漢詩(七言絶句)にしたのです。
「鞭聲粛々」とは、「鞭の音もたてないで静かにひっそりと」という意味で、
夜の闇と霧にまぎれて、上杉軍が敵の本陣めざして、河をわたったときの様子を表しています。
夜明けとともに霧のすきまから上杉軍を見たとき、
(暁に見る千兵の大牙を擁するを)
武田の本陣はびっくりしたでしょうね~。
(大牙・・・将軍のたてる旗)
自分の立てた作戦を見抜かれ、その裏をかかれたんですからね~。
(・・・って、「風林火山」(井上靖)の話ですけど・・・)
武田の主力(6割程度だったかな?)は、
もぬけ空の敵城を攻撃にいってますからね~。
夜明けとともに敵城が空であることを知って、
「しまった」と思った主力部隊が戻ってくるまで、
武田本陣は持ちこたえなければなりません。
逆にいうと、
上杉軍は、武田の主力が帰ってくるまでに決着をつけねばなりません。
武田軍は、弟の信繁や多くの有力な武将を失います。(山本勘助も討ち死)
謙信は信玄を仕留めることはできませんでした。
(長蛇を逸す)
・・・とまあ、こういう戦いだったわけですが・・・。
敵陣めざして、静かに河をわたった時の上杉軍の気持ちが
「粛々」というのに込められているんでしょうね~。
「遺恨十年一剣を磨き」ですからね~。
「粛々とすすめて参りたいと思います」と言った政治家が
この詩を意識して使ったとすれば、どうなんでしょうね~。
ものすごい決意を込めているっていうことですかね~。
あるいは、「夜の闇と霧にまぎれて、ひっそりと」(?)
いずれにせよ、ああいう「粛々と」という言葉の使い方は、
好きになれないなあ。