ひとりでいる時間・『言の葉の庭』
今GYAOで『言の葉の庭』というアニメを見て、とても感動したんで、ちょっとここに書いときます。
もう、のっけから、雨の描写に心うたれました。
公園の池風景。水面に降り落ちる雨の滴とその波紋。
森の木々の描写。木の葉を一枚一枚描いています。
都会の描写もすごい。電線。信号。車。ビル。空。
このアニメのホームページを見たら、どうやら四宮義俊という画家の絵みたい。
それをデジタル化している。
景色の細部を描く、その丹念さは普通じゃない。
執念というのではない。
ただひたすら描いている。
自分のすべてを一筆一筆に込めている感じ。
丁寧さ。繊細さ。細かさ。
これがこんなにも心動かされるものだとは、驚きでした。
物語の内容も、そういう雰囲気なんですけど。
主人公は高校生で、革靴を作るのが趣味で、そのための専門学校に行きたくて、
居酒屋でバイトしている。
雨の日は、午前中は学校をさぼって、公園で靴のデザインをしている。
そんな彼が、雨の公園で十歳くらい年上の女性と知り合うという話。
じっと作業机で靴を作っている姿が印象的でした。
それで、このアニメを見て、「ひとりでいる時間は豊かな時間」という
清水真砂子さんの話を思い出しました。
つまり、ひとりでいるということと、このアニメの背景画の細密さと、
この主人公の黙々と靴を作る姿は同じだと思ったのです。
ひとりでいることの大切さをまた感じてしまいました。